日本株の決算シーズンで、注目したいニュースが発表されました。
電線大手の住友電気工業(5802)が、2026年10月30日に2027年3月期第2四半期の決算を発表しました。
今回の決算では、中間期の営業利益が前年同期比43.5%増となったほか、通期業績予想も上方修正。さらに、年間配当予想も1株39円から44円へ5円増額されました。
特に注目したいのが、生成AIの普及によって需要が拡大しているデータセンター向けの光通信関連事業です。
AI関連株というと、半導体メーカーやGPU関連企業に注目が集まりがちですが、AIを動かすための通信インフラを支える企業にも成長の可能性があります。
今回は、住友電工の最新決算をもとに、業績上方修正の背景やAIデータセンターとの関係、増配の内容、今後の注目点を整理します。
1.住友電工とはどんな会社?
住友電工は、電線やケーブルを中心に幅広い事業を展開する日本の大手メーカーです。
主な事業は次の5つです。
- 環境エネルギー関連事業
- 情報通信関連事業
- 自動車関連事業
- エレクトロニクス関連事業
- 産業素材関連事業
電力インフラ、自動車部品、半導体関連材料、光通信など、私たちの生活や産業を支える製品を数多く手がけています。
最近の投資テーマとして注目したいのは、AIデータセンター向けの光通信製品です。
生成AIの利用が拡大すると、データセンターでは大量の情報を高速で処理・伝送する必要があります。
そのため、サーバーだけでなく、サーバー同士をつなぐ光ファイバーや光配線製品などの重要性も高まります。
住友電工は、こうしたAIインフラを支える企業の一つです。
2.2027年3月期中間決算は大幅増益
まずは、今回発表された中間決算を確認します。
【2027年3月期 第2四半期累計】
- 売上高:2兆7,649億円(前年同期比16.5%増)
- 営業利益:2,195億円(前年同期比43.5%増)
- 経常利益:2,312億円(前年同期比48.7%増)
- 親会社株主に帰属する中間純利益:1,593億円(前年同期比62.7%増)
売上高だけでなく、営業利益や経常利益、純利益も前年同期を大きく上回りました。
会社の決算短信では、データセンター関連市場向け製品の需要が大きく増加したことに加え、電力ケーブルや自動車用ワイヤーハーネスなども堅調だったと説明されています。
また、品種構成の改善や生産性向上、売値改善、円安なども利益の増加に寄与しました。
今回の決算では、単純な売上増加だけでなく、利益面でも大きな伸びが確認できた点が重要です。
3.通期業績予想を上方修正!経常利益は5,150億円へ
今回の決算で特に注目したいのが、通期業績予想の上方修正です。
会社は2027年3月期の業績予想を次のように変更しました。
【2027年3月期 通期業績予想】
| 項目 | 変更前 | 変更後 |
|---|---|---|
| 売上高 | 5兆4,000億円 | 5兆7,500億円 |
| 営業利益 | 4,500億円 | 5,000億円 |
| 経常利益 | 4,600億円 | 5,150億円 |
| 純利益 | 3,400億円 | 3,700億円 |
特に経常利益は、従来予想から550億円の増額です。
修正率は12.0%となっています。
前年実績との比較でも、会社予想では売上高12.5%増、営業利益19.6%増、経常利益19.4%増を見込んでいます。
一方、純利益の通期予想は前期比0.1%増にとどまっています。
営業利益や経常利益の伸びと純利益の伸びには差があるため、利益の内訳や今後の決算も確認しておきたいところです。
4.最大の注目点はAIデータセンター向け光通信事業
今回の決算で、個人的に最も注目したいのが情報通信関連事業です。
生成AIの普及によって、世界各地でデータセンターへの投資が進んでいます。
AIは大量のデータを処理するため、データセンター内外で高速かつ大容量の通信が必要になります。
その通信を支えるのが光ファイバーや光コネクタ、光デバイスなどです。
住友電工の情報通信関連事業は、今回の中間期に売上高が前年同期比48.8%増加しました。
営業利益も大幅に増加しています。
これは、生成AI市場の拡大が、実際に同社の事業業績にも表れていることを示す材料です。
今後もAIデータセンターの建設や設備増強が続けば、光通信関連製品への需要がさらに拡大する可能性があります。
ただし、AI市場全体が成長することと、住友電工の業績が同じペースで成長することは別問題です。
今後の受注状況や生産能力、競争環境なども確認する必要があります。
5.AIだけではない!電力インフラにも成長機会
住友電工の魅力は、AIデータセンター向け製品だけではありません。
もう一つ注目したいのが、電力インフラ関連事業です。
AIデータセンターの増加に伴い、電力需要や電力設備の重要性も高まっています。
同社は電力ケーブルや受変電設備などを手がけており、国内の設備更新や再生可能エネルギー関連の需要も事業機会として挙げています。
さらに、欧州では海底送電ケーブルなどの事業拡大にも取り組んでいます。
AIの普及によるデータ通信需要と、電力需要の拡大。
この2つのテーマに関係する製品を持っている点は、住友電工の特徴といえそうです。
会社は中期経営計画2028で、デジタル・AI、エネルギー、モビリティを重点分野に掲げています。
2028年度には売上高6兆円、営業利益6,000億円を目標としています。
今後、これらの分野でどこまで成長を実現できるかが注目されます。
6.年間配当予想も44円へ増額!
業績だけでなく、株主還元にも注目したいところです。
住友電工は今回、年間配当予想を1株39円から44円へ5円増額しました。
変更内容は次のとおりです。
- 変更前の中間配当:19円
- 変更前の期末配当予想:20円
- 変更後の期末配当予想:25円
- 変更後の年間配当予想:44円
なお、住友電工は2026年7月1日に1株を4株に分割しています。
そのため、今回の44円は株式分割後の金額です。
前期の年間配当154円を分割後に換算すると38.5円になります。
これと比較すると、今回の年間配当予想44円は約14.3%の増配に相当します。
※いずれも株式分割を考慮した比較です。今期の配当は会社予想であり、確定したものではありません。
業績の上方修正と配当の増額が同時に発表されたことは、株主還元を重視する投資家にとっても注目材料です。
7.今後の注意点は?自動車関連事業の利益にも注目
ここまで見ると好材料が多い決算ですが、注意したい点もあります。
住友電工の事業はAIデータセンター関連だけではありません。
売上高の大きな割合を占める自動車関連事業では、中間期の売上高が前年同期比17.3%増加した一方、営業利益は減少しました。
会社の説明では、中東情勢の影響による原材料価格の上昇や銅価格の上昇などが利益を圧迫しています。
また、世界経済についても、地政学的リスクや物価上昇などの不透明要因が残っています。
今後の投資判断では、次の点を確認したいところです。
- AIデータセンター向け光通信製品の需要が継続するか。
- 情報通信関連事業の利益成長が続くか。
- 自動車関連事業の利益率が改善するか。
- 電力インフラ関連事業の受注が拡大するか。
- 増額された配当を今後も維持できるか。
AI関連の成長だけでなく、従来からの主力事業も含めて企業全体の収益力を見る必要があります。
8.まとめ:住友電工はAIインフラと電力インフラの両方に注目
今回は、住友電工(5802)の2027年3月期中間決算について解説しました。
今回の注目ポイントを整理します。
- 中間営業利益は前年同期比43.5%増。
- 通期経常利益予想を12.0%上方修正。
- 年間配当予想を39円から44円へ増額。
- AIデータセンター向け光通信事業が大幅成長。
- 電力ケーブルなどのエネルギー関連事業にも成長機会。
- 自動車関連事業では原材料価格の上昇が利益面の課題。
今回のニュースで興味深いのは、AI関連の成長を半導体メーカーだけでなく、その周辺インフラを支える企業からも考えられることです。
生成AIが普及すれば、データセンターの設備や通信インフラ、電力設備にも投資が必要になります。
住友電工は、こうした複数の成長テーマに関係する製品を持っています。
今後もAI関連需要が業績を押し上げるのか、そして増配を継続できる収益力を維持できるのか。
次回以降の決算にも注目していきたいと思います。
※本記事は公開情報に基づく情報提供を目的としたものであり、特定の株式の売買を推奨するものではありません。業績予想や配当予想は変更される可能性があります。投資判断はご自身の責任で行ってください。
【主な参考資料】
・住友電気工業「2027年3月期 第2四半期(中間期)決算短信」(2026年10月30日)
・住友電気工業「配当予想の修正に関するお知らせ」(2026年10月30日)
・住友電気工業「中期経営計画2028」


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